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【2024】奈良観光のおすすめ半日モデルコースを紹介!世界遺産を満喫しよう

奈良半日観光モデルコース

奈良・斑鳩の里観光の世界遺産・法隆寺周辺を巡る、半日での奈良の観光モデルコースを紹介します。一番遠方の法起寺へ向かい、法隆寺へ戻ってくるルートです。

わたしたち株式会社narrative(ナラティブ)は奈良県内で「文化財をまもる、いかす」をコンセプトに宿泊事業や観光事業をしております。

この記事では、奈良観光のおすすめ半日モデルコースを紹介します。
また、奈良の土地や歴史をさらに体感したい方には、私たちが運営する宿泊施設もおすすめです。
ぜひご一読頂き、あなたの素敵な旅の一助となれば幸いです。

  • 9:00:法隆寺駅
  • 9:40:法起寺
  • 10:10:法輪寺
  • 10:30:中宮寺
  • 11:00:和CAFE「布穀薗(ふこくえん)」(ランチ)
  • 12:00:法隆寺
  • 15:30:法隆寺駅

聖徳太子ゆかりの地として知られる斑鳩の里は、世界最古の木造建築を多数有する法隆寺があるエリアです。学生時代に修学旅行や校外学習で訪れた方も多いのではないでしょうか?

法隆寺地域は日本国内で初めて世界遺産に認定された内の一つでもあります。

目次

9:00:法隆寺駅(JR大和路線)

法隆寺駅

画像引用元:写真AC

法起寺へは、JR大和路線の法隆寺駅が最寄り駅となります。改札を出たら左の北出口へ向かいましょう。駅前にはバス、タクシーのりばがあります。近隣の店舗でレンタサイクルを借りることもできます。

9:40:法起寺(ほうきじ、ほっきじ)

法起寺

画像引用元:法起寺 | 聖徳宗総本山 法隆寺

まずは法起寺からスタートします。本数が限られているため、バスを利用する場合は注意が必要です。歩いて40分ほどかかるため、体力に自信がない方はレンタサイクルなどの利用をおすすめします。

法起寺の見るべきスポットは次のとおりです。

  • 三重塔
  • 講堂
  • 聖天堂
  • 鐘楼跡

※いずれも内部には入れません

法起寺は、奈良県生駒郡斑鳩町岡本にある聖徳宗の寺院です。法隆寺と同じ斑鳩町にある寺院で、法隆寺とともに世界文化遺産に登録されています。

法起寺は、聖徳太子(厩戸王、厩戸皇子とも 以下、聖徳太子とします)の遺命で、その子山背大兄王が岡本宮を改めて創建したといわれています。606年に聖徳太子が推古天皇に法華経を講説されたという岡本宮を寺に改めたものと伝えられています。

土地の場所から岡本寺、岡本尼寺、池後寺、池後尼寺などと呼ばれることもあります。近年の発掘調査で岡本宮と見られる建築跡が見つかりました。このことからも岡本宮跡に法起寺が建立されたことが証明されています。

法起寺は638年より伽藍として整備されはじめます。福亮僧正が弥勒像一躯と金堂を造立し、685年には恵施僧正が宝塔の建立を発願し、706年に国宝の「三重塔」が建てられています。

現存する三重塔としては日本最古のものです。法起寺の伽藍配置は、南向きの金堂が西、塔が東に配置されています。このような配置の寺院を「法起寺式伽藍配置」と呼びます。

奈良時代には栄えたとされていますが、平安時代には衰退し、法隆寺の傘下となりました。その後も室町時代の兵火によって灰燼と帰し、またも衰退してしまいます。三重塔を含む一部の建物を残し、江戸時代にようやく再建されました。

法起寺周辺にはのどかな風景が広がります。秋には付近の休耕田がコスモス畑に変わるので、コスモスと三重塔を撮影するのがおすすめです。

施設名法起寺
住所生駒郡斑鳩町大字岡本1873番地
電話番号0745-75-5559
拝観時間2月22日~11月3日:8:30~17:00
11月4日~2月21日:8:30~16:30
拝観料一般:300円
小学生:200円
団体割引あり
定休日年中無休
アクセスJR法隆寺駅から徒歩40分
近鉄 郡山駅 法起寺経由法隆寺前行バス「法起寺」下車 すぐ
JR・近鉄 王寺駅 奈良行バス「法起寺口」下車 徒歩10分
ホームページ​​​​http://www.horyuji.or.jp/hokiji/

10:10:法輪寺(ほうりんじ)

法輪寺

画像引用元:法輪寺

法起寺から西へまっすぐ10分ほど歩くと法輪寺に到着します。地名から三井寺(御井寺)とも呼ばれています。法起寺と同じく聖徳宗(明治時代は真言宗)の寺院です。

創建には2つの説があります。一つは、622年に聖徳太子が病気平癒を願って山背大兄王(やましろおおえのおう)と孫の由義王(ゆぎおう)に命じて建立させたとする説です。もう一つは、670年の落雷による斑鳩寺(聖徳太子が建立した当初の法隆寺)焼失後、百済の開法師・圓明法師・下氷新物の三名が協力し造立したとする説がです。

法輪寺は創建から江戸中期までの資料がほぼないため、詳細な歴史については不明な点があるとのことです。昭和に行われた発掘調査の結果から塔が西に、金堂が東に並列する法隆寺式の​​伽藍配置であることがわかりました。規模は法隆寺西院伽藍の2/3であったことも判明しました。

法輪寺の見るべきスポットは次のとおりです。

  • 三重塔
  • 金堂
  • 講堂
  • 妙見堂
  • 地蔵堂
  • 三井の井戸

三重塔

三重塔

画像引用元:法輪寺

法輪寺にも三重塔があり、法隆寺、法起寺と並ぶ斑鳩三塔とされています。法輪寺の三重塔も国宝でしたが、1944年の落雷により焼失してしまいました。

1975年に作家の幸田文らの協力により、創建当初の同じ飛鳥様式で復元されました。三重塔をめぐっては​​鋼材による補強の必要性について、宮大工西岡常一棟梁と設計者竹島卓一博士との激論のすえ再建されたという話も残っています。

金堂

金堂

画像引用元:法輪寺

1645年の台風で倒壊し、規模は縮小されて再建されました。御本尊の薬師如来坐像などが、安置されていましたが老朽化が進み講堂に保管されています。

講堂

講堂

画像引用元:法輪寺

鉄筋コンクリートの収蔵庫として建て直されています。講堂の御本尊​​である十一面観音菩薩立像をはじめ、虚空蔵菩薩立像、薬師如来坐像(金堂の御本尊)のほか、創建当初の講堂から出土した鴟尾(しび)などが展示されています。

妙見堂(みようけんどう)

妙見堂

画像引用元:法輪寺

秘仏の妙見菩薩立像がお祀りされています。法輪寺のお堂は2003年に改築されました。妙見菩薩は北極星や北斗七星が神格化され仏教に取り入れられたものです。妙見信仰は仏教以外に神道などでも受け入れられています。

地蔵堂

地蔵堂

画像引用元:法輪寺

法輪寺のお地蔵さまは鎌倉時代のものです。8月24日には関西では馴染み深い地蔵盆が行われます。

地蔵盆とは、お地蔵様にお供えや提灯などを飾り付けしお祭りをすることです。お地蔵様は子どもを守る仏様でもあるので、地蔵盆は子どもが主役です。お菓子をふるまったり、金魚すくいなど小規模な屋台が出る地域もあります。

施設名法輪寺
住所奈良県生駒郡斑鳩町三井1570
電話番号0745-75-2686
拝観時間8:00~17:00(3月~11月末日)
8:00~16:30(12月~2月末日)
拝観料大人:500円
中・高校生:400円
小学生:200円
団体割引あり
定休日年中無休
アクセスJR法隆寺駅から徒歩40分
ホームページhttps://ikaruga-horinji.or.jp/

三井(みい)の井戸

三井の井戸

画像引用元:法輪寺

法輪寺の境内より北西に歩いて3分ほどの場所にあります。聖徳太子が自分の子どもたちの産湯に使うために3つの井戸を掘ったことから三井と呼ばれています。現在残されている井戸は3つのうちの一つ「赤染井(あかぞめい)」と称される井戸です。

元々は法輪寺の境内だったとされています。現在でも水が湧き出ており、国史跡となっています。扇形の塼(せん)とよばれるレンガを約700枚使用するなど、古代朝鮮と同じ形式を用いた貴重な井戸となっています。

法輪寺の別名「三井寺」、付近の「三井」という地名の由来とされています。井戸の付近には三井神社があります。

10:30:中宮寺(ちゅうぐうじ)

中宮寺

画像引用元:中宮寺

法輪寺から南へ20分ほど歩くと中宮寺へ到着します。中宮寺の見るべきスポットは次のとおりです。

  • 本堂
  • 鳩和殿

必ず見てもらいたいのが、本尊の国宝「菩薩半跏像(寺伝如意輪観音)」と国宝「天寿国曼荼羅繍帳(てんじゅこくまんだらしゅうちょう)」です。

半跏思惟像は、片足を他の片足のももの上に組んで座り、指を頬に当てて物思いにふけている姿が表現されたものをいいます。これは人間の生老病死について悩み、瞑想にふける出家前の釈迦の姿に因るものです。飛鳥時代の最高傑作ともされており、本堂の中に安置されています。

口元に浮かぶかすかな微笑を「アルカイックスマイル」が特徴的です。国際美術史学者の間では、エジプトのスフィンクス、レオナルド・ダ・ヴィンチ作のモナリザと並んで「世界三大微笑」の一つとされています。

「天寿国曼荼羅繍帳」は聖徳太子の妃である橘大郎女(たちばなのおおいらつめ)が、太子の死を偲び、つくらせた刺繍製の曼荼羅です。また、刺繍部分は最古の刺繍とされ貴重なものとなっています。

※現在、実物は奈良国立博物館に寄託されています。

中宮寺は聖徳太子の母、穴穂部間人皇女(あなほべのはしひとのひめみこ)の宮があった場所に建てたと伝わっています。創建の場所は中宮寺から約500m東の場所で、現在は中宮寺跡史跡公園となっています。

秋にはコスモスが一面に見ることができます。時間が許すようであれば、今回のコースと併せて訪れることをおすすめします。

中宮寺は尼寺です。鵤(いかるが)尼寺・法興(ほうこう)尼寺とも呼ばれています。時が経つにつれ平安時代には本尊とお堂だけになり衰退してしまいます。

鎌倉時代になると興福寺の興福寺学僧・璋円(しょうえん)の娘・信如比丘尼(しんにょびくに)が復興を図ります。所在が不明になっていた『天寿国曼荼羅繍帳』を法隆寺の綱封蔵(ごうふうぞう)で発見し、帳の修理と複製品の製作を行い、塔・金堂を修理するなど、復興に尽力されました。

寺地を現在の場所に移したのは室町時代。伏見宮貞敦親王の皇女である尊智大王(そんちのおおきみ)が入寺してからは、皇女が入寺する慣例となりました。

それ以来、圓照寺・法華寺とともに大和三門跡尼寺の一つとして数えられ、中宮御所や斑鳩御所とよばれるようになりました。

最近では猫のいるお寺としてNHKの「岩合光昭の世界ネコ歩き」でも紹介されました。猫好きの方には特におすすめしたいお寺です。

施設名中宮寺
住所奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺北1-1-2
電話番号0745-75-2106
拝観時間10月1日〜3月20日:9:00〜16:00(受付〜15:45)
3月21日〜9月30日:9:00〜16:30(受付〜16:15)
拝観料大人:600円
小学生:300円
団体割引あり
定休日年中無休
アクセスJR法隆寺駅から徒歩25分
ホームページhttp://www.chuguji.jp/

11:00:​​和CAFE「布穀薗(ふこくえん)」(ランチ)

和CAFE「布穀薗(ふこくえん)」

画像引用元:布穀薗

ランチは、和CAFE「布穀薗」を紹介します。幕末・維新期の尊攘運動家で明治期の司法官である北畠治房(きたばたけ はるふさ)が晩年隠棲していた屋敷にある長屋門を改築したカフェです。

長屋門自体も京都伏見の淀城から移築したされた歴史的建造物です。ランチタイムは11:00から14:00。5種類のランチメニューが提供されています。


「大和ポークと野菜の陶板蒸し」など、奈良の食材をふんだんに使用した「布穀薗ランチ」は3,200円(税込)。※前日の12:00までに予約が必要です。

国産牛のローストビーフが味わえる数量限定の「古都ランチ」1,950円(税込)や「斑鳩名物 竜田揚げランチ」1,750円(税込)もおすすめです。

「斑鳩名物 竜田揚げランチ」は竜田揚げをメインに、奈良県吉野産の原木シイタケを取り入れたそうめんや旬の野菜の小鉢が付いています。

「ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」という百人一首の歌を聞いたことはないでしょうか?斑鳩町の北西部にはこの竜田川が流れていることから、竜田揚げがご当地グルメとなっています。

和風、洋風両方のスイーツやドリンクも充実しているので、カフェタイムに利用するのもおすすめです。法隆寺周辺には他にも素敵なカフェやごはん処がたくさんあるため、お気に入りのお店を探してみてください。

施設名和CAFE布穀薗
住所生駒郡斑鳩町法隆寺2-2-35
電話番号0745-44-8787
営業時間10:00〜16:00(L.O. 15:45)
ランチ:11:00〜14:00
定休日水曜日(祝日営業)
アクセスJR法隆寺駅から徒歩20分
バス停法隆寺門前から徒歩5分
ホームページhttp://fukokuen.com/

12:00:法隆寺(ほうりゅうじ)

法隆寺

画像引用元:法隆寺

法隆寺は聖徳太子ゆかりの寺院としてよく知られています。特に五重塔は約1,300年以上倒壊していない、現存する世界最古の木造建築物として有名です。

若草伽藍について​​​​​​は法隆寺の創建当時のものと考えられており、1939年に西院伽藍の南東部から発掘されました。若草伽藍は、南北に一直線に並ぶ中門、五重塔、金堂、講堂を回廊が囲む日本最古の建築様式の一つ四天王寺式伽藍配置をしています。また、飛鳥時代の古瓦も出土しています。

敷地も広大で飛鳥時代の建築物や宝物などが数多く残されています。なんとなく視界に入ってくる門や塀であっても、重要文化財や国宝なので目が離せません。

法隆寺をすべてじっくりと見るのであれば2〜3時間はかかりますので、ゆとりをもって来ることをおすすめします。理解を深めたいのであれば、観光ボランティアガイドを依頼しておくのもおすすめです。

法隆寺の見るべきスポットは次のとおりです。

  • 東院伽藍エリア
    • 夢殿
    • 絵殿・舎利殿
    • 伝法堂
    • 東院鐘楼
    • 東大門
    • 築地塀
  • 大宝蔵院
  • 西院伽藍エリア
    • 南大門
    • 五重塔
    • 中門
    • 回廊
    • 経蔵
    • 鐘楼
    • 金堂
    • 大講堂
    • 聖霊院
    • 東室
    • 西円堂
    • 西室・三経院
    • 上御堂(かみのみどう)
    • 食堂
    • 綱封蔵(こうふうぞう)

東院伽藍(とういんがらん)エリア

東院伽藍は法隆寺の東に位置し、金堂にあたる夢殿を中心とした伽藍です。先ほど訪れた中宮寺に隣接しています。元々は現在の中宮寺の敷地と併せて、聖徳太子の斑鳩宮があった場所です。

夢殿(ゆめどの)

夢殿

画像引用元:法隆寺

法隆寺の東院伽藍においては金堂に相当するお堂です。二重基壇になっており、八角円堂が特徴的な建築物です。斑鳩宮にも夢殿と呼ばれる場所があり、聖徳太子が政治や仏教について、思案していた場所といわれています。

八角形の台座に、秘仏とされていた国宝の「救世観音菩薩立像」が安置されています。「救世観音菩薩立像」は聖徳太子の怨霊を鎮めるため夢殿にお祀りされたという説があります。

開帳すれば災が起こると恐れられていたため、法隆寺の僧侶であっても姿を見ることが許されない「絶対秘仏」とされていました。夢殿が開かれたのが1884年、約200年ぶりのことでした。

薬師寺東塔を「凍れる音楽」と称したフェノロサと岡倉天心の説得によるものでした。「救世観音菩薩立像」は、聖徳太子の等身大の像と伝えられています。救世観音像は、7世紀に作られた高さ179cmの像で、日本に現存する最古の木造彫刻の一つです。

クスノキの一材から彫り出されており、全身が金箔で覆われています。腰高のすらりと優美な立ち姿と、くっきりした目鼻立ちに独特の笑みが印象的です。

毎年、4月11日〜5月18日までと​​10月22日から11月22日までの春と秋に公開されます。機会があれば、ぜひ拝観してください。

絵殿(えどの)・舎利殿

絵殿

画像引用元:法隆寺

絵殿は、鎌倉時代前期の1219年に建立され、国の重要文化財に指定されています。本尊は夢違観音(ゆめたがいかんのん)です。

聖徳太子の事績が描かれた障子絵「聖徳太子絵伝」が壁に飾られていましたが、現在は東京国立博物館に所蔵されています。舎利殿は絵殿の東側にあります。聖徳太子が2歳の春に東に向って合掌され、その掌中から出現したという舎利(釈迦の遺骨)が安置されています。

伝法堂

伝法堂

画像引用元:法隆寺

伝法堂は739年に建立された国宝の講堂です。聖武天皇の妻、橘夫人の邸を移築したものです。奈良時代の貴族住宅で唯一の遺構として貴重なものとなっています。

奈良時代のお堂としては珍しく、床が板張りです。夢殿を囲む廻廊の北側に隣接しており、南門から見ると夢殿の奥に位置しています。

東院鐘楼

東院鐘楼

画像引用元:法隆寺

東院鐘楼は、舎利殿の舎利を奉出(ご開帳)する際や法要が行われる際に使用されます。東院鐘楼の堂内には、奈良時代の三組の乾漆阿弥陀三尊像をはじめ、多数の仏像が安置されています。内部にある銅鐘には「中宮寺」と掘られているため、中宮寺から移されたものと考えられます。

東大門

東大門

画像引用元:法隆寺

法隆寺東大門は、奈良時代(710年〜793年)に建立された国宝です。法隆寺の西院と東院の間に建っており、「中ノ門」とも呼ばれています。東大門は、鏡池の東側に南向きに建てられていましたが、平安時代頃に現在の場所にされたと考えられています。

築地塀

築地塀

画像引用元:法隆寺

法隆寺の築地塀は、粘土を棒で一層ずつ何層にも突き固める「版築」と呼ばれる工法で作られています。南大門から中門にかけて大垣とよばれる築地塀が左右に広がっているほか、法隆寺の各聖域が分けられています。塀自体も重要文化財でとても貴重なものです。

大宝蔵院(だいほうぞういん)

大宝蔵院

画像引用元:法隆寺

大宝蔵院は鉄筋コンクリート造りで、1998年に完成した法隆寺の中では、最も新しい建物です。防火耐震の現代建築ながら、白壁が眩しく柱や梁の丹も鮮やかで、外観は飛鳥様式で建てられています。

百済観音堂を中心に東西の宝蔵からなる建物で、法隆寺の寺宝を収蔵、公開しています。百済観音像、玉虫厨子(いずれも国宝)などが展示されています。

西院伽藍(さいいんがらん)エリア

西院伽藍は南大門を抜けた先、法隆寺の西のエリアにあります。建物はすべてが国宝であり、飛鳥時代の建築様式を伝える世界最古の木造建築です。法隆寺に訪れる方の多くは、まず西院伽藍から訪れることでしょう。

南大門

南大門

画像引用元:法隆寺

法隆寺の南大門は、法隆寺の玄関である総門です。南大門は、1438年(永享10年)に室町時代に建造されました。

法隆寺では珍しく、飛鳥時代に建立された堂宇の多い西院伽藍の広大な敷地の入り口に立っています。南大門は、創建時には中門前の石段上に立っていましたが、寺域の拡大により現在の場所に移されました。

一般的に南大門には仁王像(金剛力士像)が安置されている場合が多いですが、法隆寺では創建当初から中門に仁王像が安置されています。

五重塔

五重塔

画像引用元:法隆寺

法隆寺五重塔といえば、約1,300年以上倒壊していない、現存する世界最古の木造建築物として有名です。

1階部分にあたる初重には東西南北の4面にそれぞれ塔本四面具と呼ばれる土で造られた群像が安置されています。五重塔は下から地・水・火・風・空と仏教における5大要素を表しています。

32mある心柱は地下1.5mある大礎石の上に立っており、屋根とのみ接続しています。また、上に行くほど軽くなっています。

地震があった場合、振り子のように揺れる構造にはなっていますが、力が逃げるので倒壊に至らないということです。五重塔の建築方法は東京スカイツリーにも活かされました。

中門

中門

画像引用元:法隆寺

法隆寺の中門は西院伽藍の正門であり、法隆寺の中枢をなす門です。中門は、軒が深く覆いかぶさり、正面が四間二戸と入口が2つある形が特徴です。

中門は、エンタシスの柱や上層には金堂と同じ卍崩しと人字型の割束を配した高欄を備え、壮麗な飛鳥時代の様式を今に伝えています。門内左右に仁王像(金剛力士像)が安置されています。現在は木柵がされており、通り抜けることができません。

回廊

回廊

画像引用元:法隆寺

法隆寺の回廊は、飛鳥時代(593年〜709年)に建立されました。中門から左右に出て、金堂と五重塔を取り囲むように建てられています。

回廊は、東側の鐘楼、中門と相対する北側の大講堂、西側の経蔵に繋がって西院伽藍を形造っています。回廊の柱はエンタシスと呼ばれる柱の真ん中が太くなっているもので、ギリシャ神殿の柱と同じ造りです。

経蔵

経蔵

画像引用元:法隆寺

大乗仏教の大蔵経である「一切経」を納めたお堂です。金堂・五重塔・回廊などとほぼ同じ時期の710年から793年にかけて作られました。

鐘楼

鐘楼

画像引用元:法隆寺

鐘楼は金堂の後方に経蔵と左右対称で建っています。奈良時代の鐘楼は、925年に落雷により焼失し、現建物は10世紀の終わり頃に再建されました。梵鐘は天平時代(奈良時代前期)に鋳造されました。鐘楼は、1899年に国の重要文化財、1951年に国宝に指定されました。

金堂

金堂

画像引用元:法隆寺

世界に現存する木造建築の中で最も古く、西院伽藍の中心的な建物です。金堂は、飛鳥時代に建立されたと考えられており、670年の火災後に再建されました。

西院伽藍の中心建物として、中門と廻廊に囲まれています。ほぼ正方形に近い形をしています。

二重の入母屋造りで、上層の屋根は2方向に、下層の屋根は4方向へ勾配しています。二重基壇上に建っており、ふくらみのある丸柱や組物に用いる雲斗雲肘木、人字形割束や卍崩しの高欄など独特の建築様式を備えています。

内部には本尊釈迦三尊像のほか、薬師如来像、四天王像、阿弥陀三尊像、毘沙門・吉祥天像が安置されています。また、天人や鳳凰の天蓋(てんがい)が吊り下げられています。

大講堂

大講堂

画像引用元:法隆寺

大講堂は、仏教の学問を研鑽したり法要を行う施設です。中門の正面に建ち、金堂よりもはるかに法隆寺最大の建物で僧侶たちの研鑽の場として位置付けられています。

創建年代は不明ですが、925年に雷火で焼失し、990年に元の位置、大きさで再建されました。

金堂と五重塔の北側に立っており、金堂と五重塔の中央後方に離れて建っています。現在両脇に回廊が取り付けられていますが、元は北回廊は金堂・塔を囲んで南方で閉じられていました。

大講堂には、薬師三尊像と四天王像が安置されています。薬師三尊像は、中央に薬師如来、左に日光菩薩、右に月光菩薩が配置されています。

大講堂の薬師如来は大きく、台座から光背先端までの高さが4mあります。平安時代の仏像の特徴である、螺髪の形状や肉髻の高さが低いなどの特徴を持っています。

聖霊院(しょうりょういん)

大講堂

画像引用元:法隆寺

法隆寺の聖霊院は、聖徳太子像を安置するために僧房である東室の南側の一部を改造して建立されました。

聖霊院内部の大きな厨子には、45歳の太子が勝鬘経を講義する姿をあらわした「聖徳太子坐像」と山背大兄王(やましろおおえのおう)像、殖栗王(えぐりおう)像、卒末呂王(そまろおう)像、恵慈法師(えじほうし)像が安置されています。

太子の命日である3月22日から3日間はお会式が行われ、参道には露店も出るため、大変賑わいます。


太子像も特別に開扉とされますが、お供物が高く積まれるので見ることができません。3月21日の18時からの法要後であれば、短時間だけ聖徳太子像を拝観することができます。

聖霊院の向かいにあるのが鏡池です。「昔の貴人や英雄が水面に姿を映した。」「持っていた鏡を落とした。」という伝説から鏡池という名前が付けられています。

鏡池のほとりに、とある句碑が残されています。「柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺」という有名な句を聞いたことがあるのではないでしょうか?かつて鏡池のほとりに茶店があり、正岡子規が詠んだとされています。

東室

東室

画像引用元:法隆寺

法隆寺の東室は、国宝に指定されている西室と同じく僧房です。​​西院伽藍の中枢部に次いで築かれたものとされています。

西円堂

西円堂

画像引用元:法隆寺

西円堂は、奈良時代の718年に光明皇后の母である橘夫人の発願により、行基が建立したと伝えられています。現在のお堂は、1250年に再建されました。

西円堂は、法隆寺西院伽藍北西の小高い場所にあり、薬師如来像を安置しています。八角円堂の建物で、夢殿と同じ形をしています。

石の基壇上に建てられており、基壇の一部には奈良時代の創建当時の石が残っています。西円堂は、四面に扉、正面には連子窓があり、普段から拝観できますが、堂内に入ることはできません。

西室・三経院

西室・三経院

画像引用元:法隆寺

法隆寺の西室は、国宝に指定されている東室と同じく僧房です。金堂や塔などの伽藍の中心的な建築群を囲むように建てられた僧房です。毎年、夏安居(げあんご)の3ヶ月間使用されます。

夏安居とは雨季の一定期間、僧侶たちが虫や草木を踏み潰すことを避けるため、外出せずに集団で修行することです。

三経院は、西室の南端部を改造して建てられました。聖徳太子が勝鬘経(しょうまんぎょう)・維摩経(ゆいまきょう)・法華経(ほっけ)の3つの経典を注釈した『三経義疏』(さんぎょうぎしょ)にちなんだことから三経院と名付けられました。

上御堂(かみのみどう)

上御堂

画像引用元:法隆寺

上御堂は「西院伽藍」の最北にある「大講堂」よりも、さらに北の小高い位置に建っています。上御堂には平安時代の国宝である釈迦三尊像(釈迦如来・文殊菩薩・普賢菩薩)が安置されています。

釈迦三尊像は、623年に聖徳太子の菩提を弔うために鞍作止利(くらつくりのとり)につくらせたもので、中国の北魏様式です。普段は非公開ですが、毎年11月1日から3日まで特別公開されます。

食堂

食堂

画像引用元:法隆寺

食堂は、西院伽藍の東側に建っています。元々は法隆寺の寺務所「政所」でしたが、平安時代頃に僧が食事をする食堂として使われるようになりました。

綱封蔵(こうふうぞう)

綱封蔵

画像引用元:法隆寺

法隆寺の綱封蔵は、聖霊院の東に建つ寺宝を保管するための倉庫です。奈良時代から平安時代初期に建てられ、1967年6月15日に国宝に指定されました。

綱封蔵とは何かというと、日本の全僧尼を統括する僧官である僧綱が開閉する蔵です元々、正倉院と同じく天皇の命令で行う勅封の蔵でしたが、諸寺を管理する「僧綱所」に蔵の開閉が委ねられたことから、綱封がされることとなりました。

綱封は僧綱が行うもので、勅封に次ぐ格式となっています。綱封蔵は、春・秋の観光シーズンのみ開館し、大宝蔵院では展示しきれない様々な寺宝を公開しています。

施設名法隆寺
住所生駒郡斑鳩町法隆寺山内1の1
電話番号0745-75-2555
拝観時間8:00~17:00:2月22日~11月3日
8:00~16:30:11月4日~2月21日
※閉館時間が近づくと入れない施設があります。
拝観料西院伽藍内、大宝蔵院、東院伽藍内共通
一般:1,500円
小学生:750円
団体・身障割引あり
定休日年中無休
アクセスJR法隆寺駅から徒歩約20分
バス「法隆寺参道」行き
法隆寺参道下車から徒歩4分
ホームページhttp://www.horyuji.or.jp/

15:30:法隆寺駅(JR大和路線)

法隆寺駅(JR大和路線)

画像引用元:写真AC

お疲れ様でした!法隆寺駅に戻ってきました。

法隆寺駅は快速列車も止まりますので奈良市内や大阪市内へのアクセスも便利です。奈良駅(JR)まで10分程度、大阪駅までは40分程度です。朝・夕の時間帯には、新大阪へ直通で向かう列車も到着します。

まとめ

半日でめぐる奈良・斑鳩の里観光はいかがだったでしょうか?アクセスを考えて、法起寺から法隆寺へ向かうルートでご案内しました。

現在の法起寺、法輪寺、中宮寺はコンパクトですが、とても貴重な文化財を見ることができます。そして、目に見えるものほぼすべてが、重要文化財や国宝といえる寺院は、日本でも法隆寺くらいではないでしょうか?

修学旅行等で訪れたことがある方も、もう一度じっくりと法隆寺を拝観されると新しい発見があるかもしれません。また、法隆寺には七不思議といった面白い話もありますので、ぜひ調べてみてください。

法隆寺地域周辺には、旧跡なども多く残されています。時間が許すのであれば、色々な場所に寄り道してみてください。

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